金子達仁『古田の様』(扶桑社 1575円)

タイトルから分かるように元東京ヤクルトの捕手兼監督だった古田敦也を扱ったノンフィクション。
構成は以下の通り。

第一章 稀代のキャッチャー
第二章 挫折と苦闘の日々
第三章 2004年、球界再編騒動
第四章 それから

極々簡単に内容を書いてみると以下の通り。
第一章は古田と対戦した選手や五輪予選などの関係者からみた話が中心。
第二章はアマチュア時代のドラフト話*1から現役時代、兼任監督の件についてが中心。
第三章は選手会会長時に勃発した「球界再編騒動」の始終について。
第四章は引退時の話

とまあ、古田敦也の人生を本人や関係者のインタビューなどを絡めて書かれています。
各章とも読み応えはあります。
第一章では古田と矢野(阪神)の対談があったりします。
第三章ではオーナー側の代表者となった瀬戸山氏(千葉ロッテ球団代表)の話もあり、これはほんとによい。

しかし、一読してなにか物足りない。
古田の半生記なのにプロ入り時の監督、野村克也に関するエピソードがほとんどない。
古田が嫌がったのか、それとも野村監督が嫌がったのか、別の理由があるのか。
この部分を落としてしまっては古田敦也という選手のことが分からないような気がする。
これはもったいないと思う。

筆者の金子達仁氏の最近の仕事の中では良かったかと思う。*2
『28年目のハーフタイム』『決戦前夜』のような作品にはもう出会えんのかな。

古田の様

古田の様

*1:メガネをかけた捕手はいらん、っていう有名な話

*2:06年W杯の事を書いた『敗因と』はブログで煽った割には出来が悪かったと思う